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おとり効果と3つの価格プラン:比べやすさが選び方を変える

公開日

選ばれない選択肢が、ほかの選ばれ方を変える

おとり効果とは、ほとんど誰にも選ばれない選択肢を1つ足すと、ほかの選択肢の選ばれ方が変わる現象です。Huber、Payne、Putoが1982年に発表した研究で報告されました。価格プランを2つから3つに増やすかどうか迷っている人にとって、実際に使える考え方です。

ただし、効果の大きさは状況によって大きく変わります。どんな商品でも同じように働くわけではないので、仕組みと条件を押さえたうえで、自分の客で小さく試すのが現実的です。

何が起きているのか

研究の中心にあるのは「非対称に劣る選択肢」です。選択肢Aと選択肢Bがあり、AとBは一長一短だとします。そこにAより明らかに劣る選択肢A'を足します。A'はAに比べて、どの点でも同じかそれ以下という位置づけです。

すると、A'と比べたときにAが良く見えるため、Aを選ぶ人が増える場合がある、というのが報告された内容です。A'はほとんど選ばれませんが、Aを選ぶ理由を作る役を果たします。

人は多くの場合、商品の価値を決まった物差しで測っていません。目の前に並んだものとの比較で判断しています。おとり効果は、この性質を示す例の一つです。

3つの価格プランに当てはめる

小さな事業で考えやすいのは、サービスの料金プランです。たとえば、月額の低いプランと高いプランしかない状態に、中間のプランを足す場面を想像してください。

おとりの置き方には、大きく2通りあります。

  • 売りたいプランのすぐ下に、少しだけ劣るプランを置く。上位プランに含まれる内容の大半が入っているのに、価格差が小さく、一部の機能だけが欠けている形にする
  • 売りたいプランの上に、手の届きにくい高額プランを置く。売りたいプランが相対的に手頃に見える

前者が研究で扱われた構図に近く、後者は一般に「価格の錨」の話として語られます。混同しやすいので、自分がどちらを狙っているのかを先に決めておきます。

大切なのは、おとりに見える選択肢も、本当に売れる内容にしておくことです。実際に必要としている人がいるなら、そのプランを選ぶ客を大事にできます。

議論と限界

おとり効果は広く知られていますが、どの場面でも再現するわけではありません。後の研究者からは、設定を変えると効果が小さくなる、または出ないという報告もあります。実験室の選択課題と、実際の購入場面では事情が違います。

また、客が内容を細かく比べない商品や、すでに買うものを決めている客には、効くとは限りません。反対に、比較して選ぶ人が多い商品ほど、並べ方の影響を受けやすいと考えられます。

倫理の面でも注意が必要です。客に見せたくない意図で、わざと選ばれない商品を作ると、信頼を損ねかねません。「このプランは誰のためのものか」を説明できる設計にしておくと、後で困りません。

試すときの注意

並べ方を変えるときは、一度に変えるのを1か所だけにします。価格、機能の書き方、プランの順番を同時に動かすと、何が効いたのか分からなくなります。

また、比べる期間を揃えます。月の前半と後半、繁忙期と閑散期では、客の顔ぶれが違います。変更の前後で同じ長さの期間を取り、プランごとの選ばれた件数を並べてみます。件数が少ないうちは、数件の差は偶然の範囲かもしれません。差が小さいときは、結論を急がずもう少し期間を延ばします。

おとりの効果が見えなかった場合も、失敗とは限りません。客が内容をよく見ているなら、並べ方より中身の説明のほうが効いている、という確認になります。

次にやること

  1. 今の価格プランを書き出し、3番目のプランを足すとしたら何を足すか考える
  2. 売りたいプランを1つ決める
  3. そのプランのすぐ下に置く案と、上に置く案を、それぞれ文章で書く
  4. おとり側にも、本当に必要としそうな客がいるかを確認する
  5. 並べ方を変えたあと、1〜2か月は選ばれ方を記録して比べる

料金表示や景品表示に関わる点は、不安があれば専門家に相談してください。