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フリーミアムの線引き:無料と有料をどこで分けるか

公開日

無料の部分は、有料に進む理由を残して決める

フリーミアムとは、基本部分を無料で提供し、一部の利用者に有料の上位版を買ってもらう価格のしくみです。Chris Anderson が2009年の著書『Free』で、無料を使った事業の型の一つとして整理しました。無料を出すべきか、出すならどこまでかで迷っている人が、境目を決める考え方として使えます。

Anderson の整理した「無料」の型

同書では、無料を使う事業のしくみをいくつかの型に分けています。代表的なものは次のとおりです。

  • 別の商品の利益で、無料の商品の費用をまかなう
  • 広告などを払う第三者が、無料の利用者の分を負担する
  • 利用者が時間や作業を提供して、無料で使う
  • 基本は無料で、上位版にだけ料金をとる(フリーミアム)

フリーミアムでは、無料の利用者のほうが多く、有料の利用者は一部であるのが普通だと説明されています。無料の利用者を支える費用が、少数の有料利用者の売上でまかなえるかが成り立つ条件になります。

線の引き方を考える

無料と有料の境目は、何を無料にするかで決まります。引き方には、よく使われる型がいくつかあります。

  • 機能で分ける: 基本機能は無料、高度な機能は有料
  • 量で分ける: 一定の件数や容量までは無料
  • 期間で分ける: 試用期間のあいだは無料
  • 対象で分ける: 個人利用は無料、仕事での利用は有料

選ぶときは、次の二点を確かめます。

  1. 無料だけで、商品の価値が伝わるか。価値が分からないと、有料に進む理由が生まれない
  2. 有料でしか得られない価値が、はっきりあるか。無料で十分に満足されると、有料に進む人が出ない

つまり、無料は「良さを知ってもらう部分」、有料は「もっと使いたい人が求める部分」にします。

小さな事業での注意

デジタルの商品は、利用者が増えても追加の費用が小さいため、フリーミアムが向きます。一方、個別の対応や手作業が必要な仕事では、無料の利用者を増やすほど手間が膨らみます。この場合は、無料の範囲を小さな相談や資料の提供にとどめるほうが安全です。

また、有料に進む人の割合は商品によって大きく違います。広く言われる数字を当てにせず、自分の客で確かめます。

さらに、一度無料にした部分を有料に戻すのは難しいことが知られています。最初から有料にする部分を決め、迷う部分は有料側に置いたほうが、あとから変えやすくなります。

無料の利用者から学ぶ

無料の利用者は、収入にならなくても情報をくれます。どの機能がよく使われ、どこで離れるのかを見れば、有料にすべき部分の手がかりになります。

無料の部分について、問い合わせの対応は最小限にします。手順書やよくある質問のページを用意し、個別の対応は有料の客を優先する方針を、あらかじめ決めておきます。

有料に進まない人の理由も聞けるなら聞きます。価格が高いのか、必要な機能がないのか、無料で足りているのか。理由によって、対処はまったく違います。

無料の範囲を決めたあとも、見直しの機会を持ちます。利用の記録を見て、無料で十分に使われてしまっている機能がないか、逆に無料では価値が伝わらない部分がないかを、定期的に確認します。線は一度引いたら終わりではありません。

見直しのたびに、有料の客と無料の客それぞれの声を聞きます。有料の客が、どの機能のために払っているのかが分かれば、線の位置の根拠になります。

次にやること

  1. 自分の商品の機能や提供内容を一覧にする
  2. 「無料で出して価値が伝わる部分」に印をつける
  3. 「これがあれば払いたい」と客が言いそうな部分を選ぶ
  4. 無料の利用者1人あたりにかかる手間と費用を見積もる
  5. 小さな範囲で試し、有料に進んだ人の割合を記録する

価格表示や契約の条件に不安があるときは、専門家に相談してください。