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ロングテールとニッチの選び方:売れ筋以外で稼ぐという考えの使いどころ

公開日

ロングテールは、少数のヒットより多数の小さな需要を見る考え方

ロングテールとは、少数のヒット商品でなく、少ししか売れない商品の全体にも大きな需要があるという見方です。Chris Anderson が2004年の記事で示し、2006年に著書『The Long Tail』にまとめました。売れ筋で大手と競えない小さな事業が、どの市場に入るかを考えるときの手がかりになります。

考え方の中身

商品を売れた順に並べると、少数のヒットが左に高く並び、右へ細く長い裾が続きます。この裾の部分が「ロングテール」です。

Anderson は、ネットの普及で保管や配送、探す手間の費用が下がったため、売れる数の少ない商品も提供できるようになったと論じました。実店舗は棚の数に限りがありますが、ネット上の店は在庫の制約が小さく、品揃えを広げやすい、という説明です。

ここから、小さな需要の合計が、ヒット商品の売上に匹敵しうるという主張が出てきました。

その後の議論

この主張には、反論も出ています。ネット上の購入データを分析した研究者の Anita Elberse は2008年に、売上の大部分は依然として少数のヒットが占めているという分析を示しました。裾の部分の商品は、個別には非常に売れにくい、という指摘です。

つまり、「裾の需要は全体として存在する」ことと、「小さな事業がそこで稼げる」ことは別の話です。需要が分散しているため、1つの商品から得られる売上は小さくなる場合があります。

小さな事業にとっての使い方

大手が品揃えを広げる戦略としてではなく、自分が入る場所を選ぶ視点として使います。

ニッチを選ぶときは、次の点を確かめます。

  • 探している人が実在するか。検索や質問サイト、SNSの話題で確認する
  • その人たちが、他の場所では満足していないか。選択肢が少ない、情報が足りない、といった不満があるか
  • 自分が一定の質で続けて提供できるか
  • 客単価、または繰り返し買う頻度が、小さな人数で成り立つ水準か

最後の点が特に大切です。客が少ない市場では、1人あたりの売上が低いと続けられません。単価を上げられるか、継続して買ってもらえるかを先に考えます。

ニッチの絞りすぎに注意する

絞るほど競合は減りますが、客も減ります。始める前に、探している人の数をおおまかに見積もります。検索される言葉の種類を数える、関連するコミュニティの規模を見るなど、確認できる範囲で構いません。

あとから広げることもできます。最初は狭く入り、客の反応を見て隣の分野へ広げる順で進めるほうが、失敗しても傷が浅くなります。

小さく試す

ニッチの見立てが合っているかは、調べるだけでは分かりません。小さな商品やサービスを一つ出して、実際に買う人がいるかを見ます。

目安は、いくつの問い合わせや申し込みがあれば続ける、と事前に決めておくことです。基準を決めずに始めると、少ない反応でも続けたくなり、多い反応でも不安になります。

反応が弱いときは、ニッチの選び方が悪いのか、伝え方が悪いのかを分けて考えます。探している人は実在するのに伝わっていないなら、言葉や出す場所を変えます。

ニッチの規模は、完全に分からなくても構いません。大切なのは、探している人が少なくとも見つかること、そして自分がその人に届く手段を持っていることです。届ける手段がない市場は、需要があっても小さな事業には使えません。

届く手段は、検索、SNS、メール、紹介など、すでに自分が使えるものから考えます。新しい手段を一から作るより、手元の手段で届く範囲を選ぶほうが現実的です。

次にやること

  1. 候補のニッチを3つ書く
  2. 各ニッチについて、検索や質問サイトで探している人の声を探す
  3. 声が見つかったものについて、既存の提供者への不満を書き出す
  4. 客単価と、繰り返し買う可能性を見積もる
  5. 最も根拠がそろった1つに絞り、小さく商品を出して反応を見る