一人の事業にOKRを使う:目標は1つ、測れる成果は3つまで
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OKRは「目標」と「測れる成果」を組にする
OKR(Objectives and Key Results)は、定性的な目標(Objective)と、その達成度を数字で確かめる成果指標(Key Results)を組にして管理する方法です。一人の事業でも使えますが、会社向けの形をそのまま持ち込むと、書く作業だけが増えます。小さく切って使うのが向いています。
由来はインテルのアンディ・グローブが実践した運営方法で、著書『High Output Management』(1983年)にその考え方があります。投資家のジョン・ドーアがインテルで学び、グーグルなどに紹介しました。2018年の著書『Measure What Matters』は、その経緯と運用の実例をまとめた本です。ピーター・ドラッカーの目標管理(MBO、1954年の著書『現代の経営』で広まった)と近い発想ですが、OKRは期間を短く区切り、目標と数字を公開して見直す点に特徴があります。
一人の事業向けに小さくする
会社では全社・部門・個人の3層に分けて整合を取りますが、一人ならその層は要りません。次の形に絞ると続けやすくなります。
- 期間は3か月
- Objectiveは1つ、多くても2つ
- Key Resultsは、各Objectiveに2〜3個
Objectiveは、数字を含まない、向かいたい方向の言葉にします。「小さくても続く集客の流れをつくる」のような書き方です。Key Resultsは、期末に「達成した・していない」を数字で言えるものにします。「ブログを頑張る」は測れませんが、「問い合わせフォームからの連絡を月○件にする」は測れます。
成果は「行動」でなく「結果」で書く
Key Resultsには、やった作業の量(記事を何本書く)ではなく、その作業で起きてほしい変化(検索経由の訪問を増やす、メルマガの登録を増やす)を書くのが基本です。作業の量だけを置くと、終わらせることが目的になり、成果が出ているかを確かめなくなります。
ただし、結果は自分だけでは動かせないことがあります。外部の要因が大きい数字だけを並べると、頑張っても動かず、気持ちが折れます。結果の指標を1つか2つ、自分でコントロールできる行動の指標を1つ、混ぜておくと扱いやすくなります。
運用と、うまくいかない典型
週に一度、5分で各Key Resultの現在値を書き込みます。数字が動いていなければ、そのとき原因を考えます。期末には、達成度を振り返り、次の3か月に持ち越すものと捨てるものを分けます。
ドーアの本では、グーグルのように、全部は達成できないほど高い目標を置く運用が紹介されています。ただし、これは社内で目標の達成度と評価を切り離している前提の話です。一人の事業で同じことをすると、毎回未達で気力を失うおそれがあります。最初は、少し頑張れば届く水準から始め、2〜3期やって達成度の傾向が見えてから上げるほうが安全です。
うまくいかない例は次のとおりです。
- Key Resultsが多すぎて、週次で見なくなる
- 数字にできる項目だけを選び、本当に大事な目標が抜ける
- 期の途中で数字が実態に合わなくなっても、そのまま放っておく
途中で前提が変わったなら、期の途中で書き換えて構いません。その場合は、何を、なぜ変えたかを一行残します。
他の管理方法との違い
タスク管理や予定表は「何をやるか」を並べる道具で、OKRは「何が変われば成功か」を先に決める道具です。やることの一覧は、OKRの下に置く位置づけになります。Key Resultsが決まれば、そのために今週やる作業を、タスク管理のほうで切り出します。
また、OKRは売上の目標とも同じではありません。売上は結果の一つですが、そこに至る前の段階、たとえば問い合わせの数や、継続して買う客の割合のほうが、3か月のうちに手を打ちやすい場合があります。どの数字が自分の手の届く範囲で動くかを考えて選びます。
期末の振り返りで書くこと
期末には、Key Resultごとに、最終の数字、うまくいった理由、うまくいかなかった理由を一行ずつ書きます。数字が届かなかった場合も、責める材料にはしません。目標の置き方が高すぎたのか、やり方が合わなかったのか、外部の事情なのかを分けると、次の期の数字と手段を決めやすくなります。
次にやること
- 今後3か月で動かしたいことを、数字を含まない一文で書く(Objective)
- それが達成されたと言える状態を、期末に数えられる数字で2〜3個書く(Key Results)
- 現在値を調べ、各Key Resultの横に書く
- 毎週同じ曜日に5分とり、現在値を更新する
- 3か月後に達成度を振り返り、次の期に持ち越す項目を決める
収入の見込みや税務に関わる数字を置く場合は、税理士などの専門家に相談してください。