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80対20の見方で、顧客と商品を見直す:パレートの法則の使いどころ

公開日

80対20は「そうなると決まった」数字ではなく、偏りに気づくための目安

パレートの法則とは、成果の大部分(たとえば8割)が、要因の一部(たとえば2割)から生まれるという経験則です。売上の大半が少数の顧客や商品に偏っているのでは、と疑って数字を見るための道具として使えます。「法則」と呼ばれていますが、自然法則のように成り立つものではなく、80と20という数字も目安にすぎません。実際は70対30のことも、95対5のこともあります。

小さな事業では、売上が数名の顧客や数点の商品に偏りやすく、この見方がそのまま使える場面が多くあります。

由来と、広まり方

名前の由来は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Pareto)です。19世紀末に、イタリアの土地の大半を少数の人が所有していたことなどを調べ、所得や富の分布の偏りを数式で表そうとしました。のちに、品質管理の分野でジョセフ・ジュラン(Joseph Juran)が、不具合の多くが少数の原因から生じるという考えを広め、「重要な少数」という言い方で知られるようになりました。ビジネス書で「80対20」として定着したのは、その後です。

つまり、パレート本人が「売上の8割は2割の顧客から」と述べたわけではありません。経営の世界で、似た偏りが各所で観察されたため、便利な目安として使われています。

顧客の売上を並べてみる

やり方は単純です。

  1. 過去12か月の売上を、顧客ごとに集計する
  2. 多い順に並べる
  3. 上から足していき、全体の50%、80%に達する顧客の数を数える
  4. その割合を、顧客数全体と比べる

結果の見方は、状況で変わります。上位の少数に売上が集中している場合、その顧客を失うと事業が揺らぐという意味でもあります。依存の度合いが高いなら、新しい顧客を増やす手を考えます。

反対に、少額の顧客が多数を占める場合は、対応に手間のかかる割に収益の小さい顧客がいないかを調べます。ただし、売上の大きさと、事業にとっての価値は同じではありません。紹介をくれる顧客、長く続く顧客、評判を高めてくれる顧客は、売上が小さくても価値があります。

商品にも同じ見方を当てる

商品でも、売上順に並べます。さらに売上だけでなく、粗利(売上から原価を引いた額)と、手間の時間も並べて見ます。売上上位でも、手間が大きくて粗利が薄い商品があるかもしれません。

下位の商品は、すぐにやめると決めないでください。上位商品の購入のきっかけになっていたり、特定の顧客が必要としていたりする場合があります。やめる前に、その商品を買った顧客が、ほかに何を買っているかを調べます。

使うときの注意

パレートの見方には、次の弱点があります。

  • 過去の数字の偏りは、将来も続くとは限らない
  • 期間の取り方で結果が変わる(季節商品、単発の大口案件など)
  • 件数が少ないと、偏りが偶然に見えることがある
  • 「上位の2割だけを大切にする」と決めると、育つ前の顧客を見逃す

数字は、判断の入口です。数字の後に、顧客への聞き取りや、今後の見込みを重ねて決めます。

結果を行動に変える

集計して偏りが見えたら、次の三つのどれに当たるかを考えます。依存が高いなら、新しい顧客を増やす。手間が大きく粗利が薄いなら、価格や提供の仕方を見直す。価値の高い少数がいるなら、その人たちの声を聞いて商品に反映する。

どれも、数字から直接答えが出るわけではありません。数字は問いを立てる助けであり、結論は、顧客との対話と事業の方針に照らして自分で決めます。

売上の集計は年に一度でなく、四半期ごとに更新すると、偏りが強まっているのか弱まっているのかが分かります。新しい顧客が上位に入ってきたか、長く上位にいた顧客が下がっていないかを見ると、早めに手を打てます。

顧客が少ない段階では、1人の動きで割合が大きく変わります。10人以下なら、割合よりも、1人ひとりの売上と関係の深さを見るほうが実態に近くなります。

次にやること

  1. 過去12か月の売上を、顧客別と商品別に表計算ソフトで集計する
  2. 売上の多い順に並べ、全体の80%に達するまでの数を数える
  3. 商品別には、粗利と作業時間の列を足す
  4. 偏りが大きい箇所について、売上の大きさ以外の価値(紹介、継続、評判)があるかを確かめる
  5. 3か月後に同じ表を作り直し、偏りの変化を見る